Mazarron, Spain(スペイン マサロン)編 〜地中海を泳ぐマンボウ〜 そしてJavea(ジャベア)でひと休み

昼過ぎにポルトガルのオリャオを出発して車でイベリア半島を横断すること10時間。
スペインはカルタヘナ近郊の小さな港町マサロンに到着。
道中、高速道路を通ったわけですが、かなりの高所だったらしく寒いし買ったポテトチップスの袋はパンパン。
一体、標高何メートルの場所だったんだろう?(忘れてしまった・・・)
夜通し運転した上、車中泊とあってさすがに3人ともグッタリ。
それでもこの日は8時から漁師さんが漁に出るとの事で元気出して港で待機していました。

すると漁師さん達がぞくぞくと集まってくる。初めてのスペインの漁師さん達だ。
しかしルーカスはすごい。スイス人で母国語はスイスジャーマンだけど、スペイン語も英語もイタリア語も話すことが出来る。
本人曰く、ヨーロッパの言語は似てるのが多いから、だそうだ。
それでもルーカスがいないとスペインの漁師さんとアポなんてとれないワケで。
改めていい人に出会ったなと、そして今、貴重な経験をしているのだなと思いました。
さて、そんなわけで早速定置網へ行きましょう。

初めて地中海を見たけど、すごく綺麗な青色をしている。
ホント、穏やかで綺麗な海だ。
ぼーっと海を眺めている間に定置網に到着。
早速、作業開始だ。
小さな定置網なので作業はどんどん進む。
この日はとにかく海が穏やかで船酔いしやすい私でも全然大丈夫でした。

この時期はまだマンボウがたくさん獲れる時期ではないらしく、獲れない可能性も「大」。
スケジュール的にもスペインでのサンプリングはこの日のみ。
ここでスペインのマンボウを見ることが出来なければもう機会はないのだ。
まだ私にはマンボウ運はあるのか・・・

漁師さんが網を手繰るとどんどん魚が浮かんでくる。
そして突然ルーカスが叫ぶ!
「○○!(←私の名前)」
えッ!Σ(゚Д゚) マンボウいた!?
「Flying fish!」
トビウオだよ。ルーカス、それ日本にもたくさんいるよ。。




三人で網の中を眺めていると・・・



見慣れたあのシルエットが・・・。


キタキターーー!!
マンボウだ!
地中海での初マンボウ!
パッと見では日本で見かけるマンボウと同じタイプのようだけど・・・果たして?

その後も網を手繰る度にどんどん浮き上がってくるマンボウ。
どれも小型で大きさは大体50cm前後。
日本で見かけるマンボウよりも小型が多いですね。


・網の中からルーカスがマンボウだけを引っ張り上げる。
・S君がメジャーで各部位を計測して、
・私が記録して写真を撮る。
・DNA解析用に胸鰭をほんの一部だけカットして
・海(網の外)へ返す。
ひたすらこの作業の繰り返し。

漁師さんの仕事の邪魔にならないようにする為、ゆっくりと計測している暇などないのだ。
ちなみにですが、ヨーロッパではマンボウは市場で流通していません。
理由は「フグ目」の魚ということで毒を持っている可能性があるとのこと。
昔、ある図鑑にマンボウの肝臓には毒があると記載されていましたが、実際に肝臓に毒を持ったマンボウに出会ったことはありません。
マンボウの毒で死んだという記録にも出会ったことはありません。
日本ではマンボウの肝臓を食用として利用していますし、肝臓の油を薬用として利用しています。
マンボウは世界の海を回遊する魚なので、どこかの海域でエサ由来のシガテラ毒のような毒を蓄えている可能性もあり、一概に全てのマンボウが毒を持っていないと断言は出来ませんが、日本で食用する場合、個人的には気にする必要はないと思います。
話は戻って、このマンボウ。
以前このサイトでご紹介したように、現在マンボウ属にはマンボウとウシマンボウ、そしてゴウシュウマンボウの3種がいることが知られていますが、このような小型の場合、まだ各種の特徴がはっきり現れない為、外観だけではどの種なのかよく分かりません。よってDNA解析は必須なのですがこの場で出来るはずも無く結果はお預け。。。
それでも形態的特徴を記録しておくことは大事なのでひたすら測る。
そして下を向くとだんだん気分が悪くなる。。船酔いだ。。
なんとか作業を終えて岸へ戻る。
ふぅ、陸に戻れば回復。海と魚が好きでマンボウの研究をしているのに、船に弱いというのは非常に辛い。
そしてここでのサンプリングはこの一回だけなので、終わったらすぐ次の場所に移動なのです。
・・・とその前に3人で一枚。
我々のチーム名「Team Manbow」!

旅はまだまだ序盤。
次の目的地はスペインのJavea(ジャベア)。
車の旅は続く・・・

次の目的地はValencia(バレンシア)だけど、その前に休憩しようということに。
休憩とは一体どういう意味なのか?
土日をはさむので漁師さんも次の目的地の人たちも休みで会うことが出来ない。
というわけでルーカス一家の別荘で2泊するというのだ。

車を走らすこと数時間。


本日は急ぎではないので海辺をふらふらしながらようやくJaveaに到着。
まさにバカンスの町って感じでほとんどがセカンドハウス(別荘)。
人が常駐している気配が一切無い。
きっと夏場だけココに来て過ごすのだろう。
今は5月なので、人はほとんどいない。



さて、荷物を降ろしてよっこいしょ。
中は・・・すげーーーーΣ(゚Д゚)!?豪華!!



スペイン人だけではなく、北欧のノルウェーやフィンランド、そしてドイツやスイスなどヨーロッパ中の人たちがここに別荘を持つのだそうです。
ヨーロッパ人といえばバカンスは欠かせないので、特別な金持ちでない限り別荘を持っているとか。
親戚同士で購入すれば、まぁそんなにお金はかからないのかな?特に今は不景気でお買い得だそうです。皆さんも一件いかが?
町を見学しようと思ったけど、気づけば夕方に。ご飯食べなきゃね。
なぜかルーカスに連れられて展望台の近くの崖から真下を眺めました。こえーよ、ルーカス。(((( ;゚д゚)))ガタガタブルブル



見ての通り、ここは少し高台なのでレストランを探しに麓まで降りました。



本日はオーストリア料理。一見、美味しそうなステーキだけど結構硬くて・・・。
中華料理はあったけど、日本料理はありませんでした。
いつかルーカスに本当の日本料理を食べさせてあげたい。

そして夜は・・・



夜中までマンボウ談義。
お互いに母国語でない英語で普段の意思疎通も完璧なわけではない。だけど、マンボウに関しては別。
不思議だ、本当に不思議だ。
英語は得意じゃないけどマンボウの話なら伝えれるし相手が言っている事も理解できる。

そして何より楽しい。
久しぶりにマンボウの話にどっぷり浸かりました。
スペインでワインを飲みながらマンボウの話、なんか大人の休日だなぁ。
楽しいなぁ・・・ホントに楽しい。
マンボウの研究していなかったら、今頃何をしていたんだろう?とふと考えていたとき、急に眠気が・・・。
これはきっと考えなくていいことなんだろう。
さ、明日は休み。
今まで撮った写真やデータを整理しながらゆっくり過ごそう。
おやすみ。

・・・・・・・・・・

翌日、起きたらすでにお昼。3人とも長旅の疲れが溜まっており全く起きる事が出来ませんでした。
ルーカスに至ってはまだ起きて来ないので、私とS君は近くのスーパーに昼ご飯を買いに行きました。


イワシとタコのマリネはめちゃくちゃ美味しい♪
これは日本人の口に合うね!
さ、各自、自分の仕事をしましょう。

S君はスペインの漁師さんに頂いた死んでしまったマンボウのサンプルを計測して、データ整理。結局、一番忙しかったのは彼でしょう。
私は写真整理と仕事。一応、ちょっと長い休暇を頂いていますのでやることやっとかないとね。
しかし本日は快晴。

雲ひとつ無い晴れ、とはまさにこのこと。
私とS君は海まで散歩に出かけることにしました。


展望台レストランから見た海。



ヨットが気持ち良さそうに浮かんでいますね。



海辺に降りたかったのですが、なかなかそこへの道が見つからない・・・。



あそこ(写真:真ん中上)に行きたいんですけど・・・。




しっかし暑い・・・(-公- ;) 雲ひとつない天気が裏目に。。。
ようやく道を発見して海辺に着いたのですが、日陰になっており寒い。
とても泳げるコンディションでなく、写真だけ撮ってさっさと帰りました。


そして夜は中華料理。
一応、少し中国語を話すことが出来るので注文はお任せあれ。
そして帰宅後・・・
ふと見上げた夜空に満点の星が。
Stars…


このデジカメじゃ見たまんまの星空が撮影出来なくて残念ですが、
本当は、それこそ降って来そうな落ちてきそうな星空でした。



草の上にゴロリと寝転がって星いっぱいの夜空を見上げてぼーっと考え事をする。
なんて贅沢な時間の使い方だろう。
この星空は一生忘れられないだろうなぁ。



ちなみにこの旅のBGMはさかいゆうの歌。
彼の Midnight U という歌を聴きながら満天の星の下、一人散歩しました。
休みはこれで終わり。
さ、明日からまたサンプリングの旅は始まるよ。
良い旅になることを祈って今日はおやすみ…。

続く・・・。

次のページへ TOPへ