Olhao, Portugal(ポルトガル オリャオ)編 〜ユーラシア大陸の果てにある日本の定置網〜
さて、この町オリャオ(Olhao)、スペインの国境から車で1〜2時間ほどで着く小さな港町です。我々が何故大きな寄り道をしてまでこの町に来たのか?それはここがマンボウが獲れる場所であることはもちろんのこと、ここオリャオでは日本人の方が定置網を営んでいるとの情報を得たからなのです。
S君がネットでこの会社の社長のブログを発見し、しかもマンボウの捕獲情報まで載せていたということで早速アポイントを。社長は快諾して下さり、今回の面会が実現しました。
ジブラルタルへ寄り道をした為、到着は夜中。今夜は宿で寝て明日の朝、会社へお伺いさせていただくことに.
  
翌日。生憎の天気で外は横殴りの大雨。船は出ないだろうなと思いながらも会社へお伺いさせていただきました。
こちらの会社は社長、船長、従業員の3名が日本人で他の船員の方はみんなポルトガル人。社長はもう15年もポルトガルに住んでいるため、ポルトガル語はもちろんペラペラ。
  

 まさかユーラシア大陸の果てに日本人が営んでいる定置網があるとは・・・、そしてその定置網でマンボウが獲れるなんて・・・深い感動に浸りつつ、出会って早々失礼と思いながらもマンボウに関して質問攻めさせていただきました。我々の不躾な質問に快く答えてくださる皆さん。おかげ様で大西洋のマンボウに関する貴重な情報を得ることが出来ました。
そして本日は悪天候の為、船は出ないとのこと。この日だけでなくもう3日は時化(シケ)で出ていないとのことでした。我々の滞在予定は本日を含めて明日の昼まで。果たして明日の天気は・・・。
しかしこの悪天候、結果的には良かったということに。
社長がここ数日間で獲れたマンボウを冷凍庫で保存してくださっていた為、我々はこの日一日をかけて計測が出来たのです。普通は何処の馬の骨とも知らない初対面の人間の為にどんなに頼み込んでもここまでして下さる方はいません。しかし、社長はそれをしてくださったのです。しかも15個体、そして倉庫の中まで作業場として貸してくださいました。
 我々3人は感動と感謝で心がいっぱい。もうここまで来たらお言葉に甘えまくって作業をさせていただきました。
まずはマンボウを並べてそれぞれに番号をつけることに。全身・頭部・鰭をカメラで撮影して全長・体長・全高・鰭長など各部位を計測。S君の手作り計測器は見な完成度でした。

  

計測部位と個体数が多いため、この作業だけでなんと3時間。
更に雌雄判別、脊椎骨数、寄生虫採取、胃内容物調査などなど、一個体平均1時間、計15時間。まさに根気と体力の作業なのです。
何と言っても腰が痛い・・・(涙)。


マンボウが多くて嬉しい反面、多ければ多いほど作業に時間がかかるのだ。



今、考えて見るとこの数がちょうど良かったのでは。



マンボウを見慣れたので忘れていたけど、このサイズが小型とはいえ、マンボウってやっぱり大きな魚だと改めて実感しました。



途中、休憩を挟みながらもほぼぶっ続けで夕方まで。
でも不思議と辛くないのは、やっぱりマンボウの研究だからでしょうか。

  
夕食は社長に誘われて地元のポルトガル料理屋へ行くことに。
待ってました!港町だけあって魚が美味しいに違いないからです♪
   
わお!美味しそうな魚がズラリ。そして気の良さそうなおじさんが焼いてくれます。アサリバターに色々な焼き魚、山羊のチーズ、そしてポルトガルワイン。疲れた体に力が漲るようなパワー溢れる料理でした。

そして酒好きの私にとって仕事(?)終わりのポルトガルビールとワインを楽しむ時間は最高のひと時♪

なんとここは社長がご馳走して下さることに・・・。
何から何まで本当にありがとうございます。

ここで私とルーカスは宿に戻って寝ることに。明日は二人ともスペインの地中海側まで運転しなければならないのだ。
そしてS君。何と残りのマンボウの測定をどうしてもしたい、ということで倉庫に戻ることに。
結局、彼は徹夜でマンボウの計測を続けるのでした。
彼のマンボウ研究に懸けるその根性には感服。

明日、天気が良ければ定置網を見学することが出来る。
彼の根性に免じて神様、どうか明日は晴れにしてほしいな。



・・・

月が出てるね。
明日はきっと晴れるでしょう。

それではおやすみ・・・。

翌日。

朝6時。眠い目を擦りながら港に集合。
ちょっと書き忘れてたのですが、スペインとポルトガルは隣り合っているにも関わらず時差が1時間あります。だもんでスペインから国境を越えた時点で時計を1時間ほど戻さないといけません。
そんなことを知らなかった私達はずっと時間を1時間早く行動していました。
まぁ1時間遅いよりはずっといいんだけど、実にめんどくさい。

  
海の見た目は非常に穏やか。これなら誰でも出港すると思うでしょう。
しかし、この場所は周りを島に囲まれている内湾なので外がどんなに時化ていても中はいつも非常に穏やかなのだそうです。
定置網はもちろん外洋にあるので島の外側の海も穏やかでないと出港は出来ない。船長が「とりあえず島の外まで行ってみよう」と言ったので早速出港の準備。
船員さんも大丈夫だよ(っぽい)と親指を立ててくる。そして定置網周辺は・・・穏やか。とうわけで早速作業開始なのだ!

  

私が今まで見てきた日本の定置網と違うところは、漁師さんが網の中を潜って魚をチェックすること。
この定置の狙いはマグロなのでマグロがいるかどうかを潜ってチェックするそうです。日本でも潜って魚をチェックする定置網があるのでしょうか?
そしてここの定置網は入った魚を水族館へ売る仕事もしているそうで、予約でいっぱいだとか。だから網で傷がつかないように先にチェックする必要があるのだと思います。とにかくマグロにぶつかられない様に気をつけてください。
さて、メインのマグロはいなかったものの網は揚げる様子。日本式定置網だけあって作業は日本で見たのと一緒だ。
網を手繰っていくと・・・む!?見慣れたあのシルエットはもちろん・・・!!?
マンボウだ!
大西洋のマンボウ初GET!
見た目は今まで見てきた日本のマンボウと変わりない。
しかしマンボウかウシマンボウかはこのサイズではよく分からないのだ。

  
その他にはサバが多かったかかな。
徹夜作業のS君は船の上でダウン。お疲れ様でした(笑)
  

この辺の風景はどこの国も一緒ですね。魚を選り分ける作業です。
こうして定置網見学は終了。
そしてホテルで一休みして再びスペインへ向けて出発。
明日の朝、今度はスペインの定置網調査なのでこれから700キロかけて移動しなければならないのだ。
明日の朝までに到着するかな?いや、しなければならないのだ!

社長さんをはじめポルトガルの漁師さんたち、ほんとうにどうもありがとうございました。
見ず知らずの私たちを快く迎えて下さった上に、最初から最後までお世話してくださって・・・。
遠く離れた異国の地でご活躍されている日本人の方々と接して私たちはは本当に誇りに思いました。
いつまでも元気で頑張ってください。
また機会があれば寄らせて下さいね。

というわけでポルトガルでのサンプリングは大成功に終わり、幸先の良いスタートを切ることが出来ました。
さて、これからは地中海でのサンプリングが始まります。
果たして地中海にマンボウはいるのか!?
まずは無事にスペインに到着することを祈って・・・。

続く・・・。

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