マンボウの筋肉と鱗

今回はマンボウの筋肉と鱗(うろこ)のお話。マンボウに筋肉があることは当然皆さんもご存知でしょうが、鱗(うろこ)に関してはどうでしょう?マンボウに鱗があることをご存知の方はどのくらいいらっしゃるでしょうか?って偉そうに話してますが、研究をしてた私も最初はその存在を知りませんでした。それはマンボウの鱗が「タイ」や「スズキ」のように大きくて明確なものではないからです。


百聞は一見にしかず!マンボウの筋肉と鱗を一緒に見てみましょう。それではどうぞ。


ご存知の方も多いかもしれませんが、マンボウの肉は食用として使われます。日本でもマンボウがたくさん漁獲される太平洋側の県の海辺のスーパーマーケットや魚屋さんでは見かけることも多いはずです。

この食用となるマンボウの筋肉、実はそのほとんどが縁側(えんがわ)の筋肉なのです。マンボウの筋肉は背鰭(せびれ)と臀鰭(しりびれ)を支える筋肉が非常に良く発達しており、体側筋は退化的です。体側筋とは我々がタイやアジなどで食べる背骨回りの一般的な身の部分です。マンボウは背鰭と臀鰭を左右に振る(両鰭とも同じ方向に)ことで推進力を獲得します。よって泳ぐ時には体側筋を必要としません。だから発達しないのでしょう。余談ですが、マンボウの体は非常に厚いコラーゲンの層に覆われており、体を左右に振ることは不可能です。陸に上げるとよくわかりますが、他の魚は体をバタつかせて暴れますが、マンボウは鰭(ひれ)だけをバタつかせます。


よって我々が食べているマンボウの筋肉のほとんどは縁側。ヒラメでは縁側の筋肉は美味で非常に重宝されますが、マンボウではそのほとんどが縁側とは!う〜ん、贅沢??

マンボウ アジ(私たちが食べるのはこの体側筋です) ウシノシタ科(ヒラメではありませんが・・・)
マンボウの鰭(ひれ)を支える筋肉 巨大マンボウの筋肉


次はマンボウの鱗。一枚目が上から見たマンボウの鱗です。まるで真上から見た山のようです。二枚目を見ていただければ判りますが、実はマンボウの鱗は画鋲のような形をしています。先端の方が隠れて見え辛いですが尖っています。マンボウの体表はこの画鋲のような鱗が多数存在し、ザラザラしています。マンボウの仲間は稚魚の頃には全身にトゲがありますが、マンボウの鱗がこのように尖っているのは何か関係しているのかもしれませんね(ハリセンボンのトゲも鱗が変化したものですし)。

  写真提供
  理科大好き人間様(左)
  イノウエ様(右)
真上から見たマンボウの鱗 真横から見たマンボウの鱗

一方で体表からは粘液をを出しており(けっこう臭い)ヌルヌルもしています。よってマンボウの体はザラザラヌルヌルという感じですね。またも余談ですが、このマンボウのザラザラした体に他の魚が寄ってきて体を擦りつけ寄生虫を落とす(よってマンボウは海の救急車と呼ばれている)、という話を聞いたことがあります。実際に見たことはありませんが。逆に体に付いている寄生虫を食べる魚は映像や画像で見たことがあります。もしもこの話が本当なのであれば、マンボウは料理を盛るお皿のような役割ですね(笑)。マンボウの体に料理を盛る魚(寄生虫を擦り付ける魚)がいて、それを食べる魚がいる…マンボウにとってはなんとも迷惑な話です。マンボウの体表・体内には40種類もの寄生虫がいるとも言われていますが、そのいくつかは他の魚に擦り付けられているのかもしれませんね。

さて、いかがだったでしょうか、マンボウの鱗。私もまさかこのような画鋲のような形をしているなんて夢にも思いませんでした。まだまだマンボウも謎が多いですね。これからも少しずつではありますが、更新していきますので気長に待ってて下さい。それでは次の更新まで!さようなら。

この記事を作成するに当って、筋肉に関する情報を提供して下さったナカエ様、写真を提供して下さった理科大好き人間様、イノウエ様、本当にどうもどうもありがとうございました。深く感謝致します。

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