こんにちわ!管理人のまったりマンボウです。今回は、今まで何度かお話したマンボウとコバンザメの不思議な関係について考えてみたいと思います。 みなさん、コバンザメってご存知ですか?知らない方もいらっしゃるでしょう。まずはコバンザメの勉強をしましょう。
というわけで、少しはコバンザメについてお分かりになったでしょうか?(写真がショボくてごめんなさい。これしか持ってませんでした。また撮り次第、差し替えます。 涙)そして気付いた方もいらっしゃるでしょうが、コバンザメはサメの仲間ではありません。コバンザメは硬骨魚類でサメは軟骨魚類。スズキ目なのでタイとかサバとかの魚に近い存在ですね。コバンザメはサメの仲間ではない!一つ勉強になりましたね。 私も定置網で揚がった魚をたくさん見てきましたが、コバンザメは結構高い頻度で見ることができます。マンボウの体にくっついていることももちろんありました。これが結構な吸着力があってなかなか剥がれないんですよ!しかし、魚の進行方向に引っ張ると剥がれ易いそうです。逆は剥がれ難い、ということは宿主が猛スピードで泳いでも剥がれないようになっているのですね。 ちなみにこの宿主とコバンザメの関係は片利共生と言われています。ごくごく簡単に説明すると、片利共生とは異なる生物種間の相互依存関係の中で片方の生物は利益を得るがもう片方の生物は利益も不利益も得ない関係のことを言います。詳しく調べてみると、この関係もかなり曖昧で複雑なため、これ以上触れないことにしておきます。 さてさて、話をメインのマンボウとの関係に戻しましょう。
で、おかしな話はココから。どうもマンボウにくっつくコバンザメにはくっつくだけには飽き足らずこんな行動に出るコバンザメもいます。右上のヤリマンボウの写真、一見普通のヤリマンボウです。コバンザメもくっついていません。でもよーく見てください。マンボウの鰓(エラ)穴から何か尻尾のようなものが飛び出ていませんか?マンボウの鰓穴のから黒い魚の尾鰭(おびれ)が見えるでしょう?実はこの魚こそコバンザメなのです。ついにマンボウの鰓穴にまで入ってしまいました(実はこのような目撃情報は結構あるのですよ)。なぜこのような行動を取ったのでしょうか?コバンザメは宿主の体表にくっついて生活するのではなかったのでしょうか? 実はマンボウはエサを食べるといくらかは鰓穴からこぼれてしまいます。(私もマンボウの飼育の手伝いをしてる時、練り餌をマンボウにあげてましたが、鰓穴から餌がこぼれてました。)コバンザメはそういう鰓穴からこぼれた餌を目当てにくっついているのでしょう。それで、より効率よく餌を食べるためにどんどん鰓穴に近づいて・・・とうとう鰓穴の中に侵入したのではないでしょうか? 実は宮城で巨大マンボウの解体をした際にもマンボウの鰓の中からコバンザメを発見しました。もちろん生きてました。その時、私はマンボウの口から侵入したのでは?と書きましたが、よく考えると口から入っていくとそのまま胃の中に入ってしまいますよね。この写真からもわかるように鰓穴から侵入したのでしょう。 さて、この侵入したコバンザメは再び出ることが出来るのでしょうか?巨大マンボウの鰓の内部にいたくらいですから一生をマンボウの鰓の中で過ごすのではないでしょうか。となると、果たしてこの関係は片利共生と言えるのでしょうか?魚の鰓というものは水から塩分や酸素を取り出したり、浸透圧調節をしたりと非常に重要で、そしてデリケートな器官です。鰓がわずかに傷つくだけで魚は死んでしまいます。コバンザメには利益があってもマンボウにとってはもちろん何の利益もなく、かなり高いリスクを負っているように思えます。鰓の中でコバンザメが暴れようものなら鰓は傷つき、マンボウは死んでしまうでしょう。先にコバンザメが死んでしまったらその死骸はどうなるのでしょう?第一、鰓の中にこのような大きな魚がいるだけでマンボウにとっては邪魔で仕方ないでしょう。むしろマンボウを死に至らしめる可能性のある寄生に近いような気もします。 余談ですが、コバンザメは宿主の餌の食べ残しや寄生虫だけでなく宿主の糞を食べるために総排泄口付近にくっつくこともあり、稀に総排泄口に侵入することもあるそうです。私にはコバンザメの生態がどこまで明らかになっているのかは分かりませんが、実は体表にくっつくだけではなく、内部まで侵入する性質をもっているのかもしれませんね。 さていかがだったでしょう?皆さんはどうお考えですか?私と一緒?それとももっと他にすごい理由を思いついたでしょうか?この説は全て私の勝手な推測であり、本当の理由はまだはっきりしていません。もしかしたら、ただ外敵に襲われないように隠れるため、マンボウの鰓を食べるため、かもしれません。そこのところはご了承下さいね。 |